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元特殊工作員が無敵の強さで弱者を救い、悪を完全抹消する『イコライザー』シリーズには、デンゼル・ワシントン主演の映画のほかに、クィーン・ラティファ主演のドラマだけでなく、その2作品の元となるドラマが存在する。 この記事では、映画とドラマシリーズの共通点と相違点を解説し、『イコライザー』というタイトルに込められた意味について理解を深め、シリーズの魅力に迫る。
『イコライザー2』
デジタル配信中/ Blu-ray 1,980円(税込)/DVD 1,551円(税込)/4K ULTRA HD & ブルーレイセット 7,480円(税込)
発売・販売元:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
© 2018 Columbia Pictures Industries, Inc. All Rights Reserved.
まずは、「イコライザー」という言葉に込められた複数の意味について解説していこう。「イコライザーとは何?」と聞かれたら音楽に詳しい人は、「音響用語」と答えるだろう。低音と高音のバランスを調整し、音の均一性や音質を向上させるための音響機器のことをイコライザーと言う。
だが、オーディオ機器に詳しくない者としては、「音響用語」としてなんとなく頭に浮かぶだけで、「音のバランスを調整する機器」と言われても、まったくピンとこない。そこで、本棚の奥にしまい込んだ年代物のプログレッシブ英和中辞書第2版(小学館刊)を引っ張り出し、「Equlaizer」という単語の意味を調べてみることにした。
英和辞書の「Equalizer」の箇所(627ページ)には、同等(平等・均一)にする人・物と書いてある。この意味を知り、「なるほど!」と腑に落ちた。
映画『イコライザー』で、デンゼル・ワシントンが演じた主人公ロバート・マッコールは、不平等に扱われている人々を救い、悪を排除して世界を均一にイコライズ(平等に)しようとしている。
さらに辞書にはこんな続きがあった。〈俗〉の項目があり、Equalizerには、(ピストル・こん棒・ナイフなどの)武器、という意味もあるという。ロバート・マッコールは、ピストル・こん棒・ナイフなどの武器を扱う達人だが、その辺にあるモノもなんでも武器に変換させてしまう無双の強さを兼ね備えている。
例えば、シリーズ第1作の映画『イコライザー』(2014)でマッコールは、敵のアジトに無防備に乗り込み、銃やナイフを奪い戦うのだが、テーブルの上にたまたま置いてあったワインのコルク抜きを利用して複数の敵と戦っていた。
映画『イコライザー』
デジタル配信中/ Blu-ray 2,619円(税込)/DVD 1,551円(税込)
発売・販売元:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
©2014 Columbia Pictures Industries, Inc. and LSC Film Corporation and Village Roadshow Films North America Inc. / Village Roadshow Films (BVI) Limited All Rights Reserved.
つまり、ロバート・マッコールの存在そのものが、一種の武器(イコライザー)なのだ。元特殊工作員仕込みの戦闘能力で、無敵の強さを発揮するマッコールが、虐げられた人々を救うため、世の中の悪を打ち砕き、不平等に戦いを挑み調整(イコライズ)していく。
人間であると同時に生きる武器でもあるロバート・マッコールという存在を表現した言葉が、イコライザーなのである。
『イコライザー2』
デジタル配信中/ Blu-ray 1,980円(税込)/DVD 1,551円(税込)/4K ULTRA HD & ブルーレイセット 7,480円(税込)
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デンゼル・ワシントン主演の映画『イコライザー』には、元となるドラマが存在している。さらに、2021年からスタートしたリブート版のドラマもあり、世の中には『イコライザー』というタイトルのドラマが2つ、映画シリーズが1つ存在することになる。以下、3つの作品の共通点と相違点をまとめた。
『ザ・シークレット・ハンター』は、政府の秘密機関のエージェントだったロバート・マッコールが、困難な状況にある人々を救う姿を描いたアクション・クライムドラマ。1985年から1989年まで米国のCBSで4シーズンにわたり放送された。主人公のマッコールを演じるのは、英国の王立演劇学校出身の俳優エドワード・ウッドワード。ニューヨークに暮らし、高級スーツをビシッと着こなした英国紳士風のマッコールが、問題を抱えた人々を不利な状況から救っていく。マッコールは、新聞に「助けが必要ならイコライザーまで」という広告を出しており、それを見て電話してきた人を助けるスタイル。
『イコライザー2』
デジタル配信中/ Blu-ray 1,980円(税込)/DVD 1,551円(税込)/4K ULTRA HD & ブルーレイセット 7,480円(税込)
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映画版の『イコライザー』は、元CIAのエージェントのロバート・マッコールが、引退後に身分を隠し一般市民として暮らしながら、たまたま知ってしまった悪事に鉄槌を下すアクション映画。ボストンのホームセンターで働きながら周囲の人達を支援し、娼婦の少女を救う『イコライザー』(2014)、タクシー運転手として働きながら、CIAの元上司で友人でもあるスーザンの殺害事件を調べる『イコライザー2』(2018)、そして、イタリアに舞台を移し、マフィアの嫌がらせから村を救う『イコライザーTHE FINAL』(2023)のシリーズ3作品が制作されている。2度のオスカー受賞俳優デンゼル・ワシントンが演じるロバート・マッコールは、妻を亡くしたトラウマを抱える神経質な男。一市民としてひっそりと暮らすことを望みながらも、悪を見逃すことができず、不平等に扱われている人のために、お節介な介入をして不正を正していく。シリーズ3作とも監督はアントワーン・フークア、脚本はリチャード・ウェンク。80年代のドラマ『ザ・シークレット・ハンター』のプロットを元に制作されている。
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2021年にスタートしたドラマ版の『イコライザー』は、『ザ・シークレット・ハンター』のリブート版。主人公は、オリジナルのロバート・マッコールの女性版で、名前はロビン・マッコール。シングルマザーとして10代の娘とニューヨークに暮らすどこにでもいる女性のように見えるが、実は元CIAの優秀なエージェント。主人公のロビンを演じるのは、歌手としてグラミー賞を受賞し、映画『シカゴ』(2002)の”ママ”モートン役でアカデミー賞の助演女優賞にノミネートされた経験を持つクィーン・ラティファ。米国のCBSでは、第3シーズンを終えており、シーズン4の制作も発表済みである。脚本・製作総指揮を務めるのは「キャッスル / ミステリー作家のNY事件簿」を手掛けたアンドリュー・W・マーロウ&テリー・エッダ・ミラー夫妻。
『イコライザー2』
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この3つのシリーズに共通するのは、主人公のマッコールが優秀な元エージェントであり、異常なほど高い戦闘能力で、困っている人を助けるために敵に立ち向かっていくことだ。また、英国紳士風、ホームセンターで働く一般市民風、無害なシングルマザー風と、一見すると無敵の戦闘能力を持つ元エージェントだとは思えない風貌であるところも共通点だ。マッコールが敵の元に乗り込んだときの、「は?弱そうなヤツ。」と、一旦バカにされてからの逆転の無双ぶりは、視聴者の爽快感に繋がるお約束のアクションシーンとして、見どころのひとつになっている。
映画『イコライザー』
デジタル配信中/ Blu-ray 2,619円(税込)/DVD 1,551円(税込)
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映画版の『イコライザー』では、前述したように、デンゼル・ワシントンが演じるロバート・マッコールが、元特殊工作員というスペックを活用して、社会的な正義を執行していく。その正義の下し方だが、かなり特殊だ。デンゼル版のマッコールは、誰に依頼されたわけでもなく、身の回りで起こった悪事を見過ごせずに、独断で社会的な正義を執行していくのだ。被害を受けている本人にも伝えずに悪人側を倒していくので、見ようによっては「お節介」と言われるかもしれない。要するに、悪事を見ると我慢ができなくなり、つい制裁してしまう体質らしい。これは、生きる武器(イコライザー)となった人間の宿命のようなものなのだろうか。それとも、病的な問題なのだろうか。実際、マッコールは、かなり神経質な性格で、ドアを何度も閉める行動を繰り返したりしており、精神的に問題を抱えているようにも見える。
最大の見せ場は、一瞬で現状を把握し、どの武器でどの敵を倒すのかを瞬時に判断するマッコールの非情な決断力だ。複数の敵を始末するのにかかる時間は、数十秒!絶対に敵には回したくない人物である。一瞬で複数の敵を倒すマッコールの無敵ぶりと、芸術的に演出されたアクションシーンが、映画版の魅力でもある。また、デンゼル・ワシントンが演じることで、マッコールの抱える闇の部分が丁寧にクローズアップされており、ダークな魅力を生み出している。弱者を助ける正義のヒーローのような存在でありながら、冷酷に悪人を始末する殺人兵器のようでもあるという二面性がマッコールの魅力であると同時に、彼の精神を蝕む原因なのかもしれない。まるで天使と悪魔のように相反する2つの存在が、マッコールの中に共存している。その矛盾が、彼を苦しめており、「もう終わりにしたい」と悩んでいるのかもしれない…….と感じさせるシーンが、最新作『イコライザーTHE FINAL』の冒頭で描かれているので、ぜひ確認してもらいたい。
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2021年にスタートしたドラマ『イコライザー』は、『ザ・シークレット・ハンター』のリブート版。オリジナルと同じニューヨークが舞台で、元CIAエージェントのロビン・マッコールが、シングルマザーとして娘と向き合いながら、裏では社会的弱者を救っていくというクライム・サスペンスだ。映画版との違いは、クィーン・ラティファが演じるロビンに家族がいること。反抗期の娘のデライヤ(ラヤ・デリオン・ヘルズ)や、アーティストとして自由に生きながらロビンの面倒を見ていた叔母のヴァイ(ロレイン・トゥーサント)など、家族との関係を描いているのが魅力でもある。弱者を救うイコライザーとして悪を成敗しながら、家では最強の兵士マインドをオフにして、シングルマザーとして娘と向き合わなければならないという二重生活も、なかなか大変だ。もう一つの違いは、ロビンにイコライザーとしての活動を支えるメンバーがいること。ロビンの友人で実は凄腕スナイパーであるメル(ライザ・ラピラ)と、メルの夫で天才ハッカーのハリー(アダム・ゴールドバーグ)、そして、当初はロビンを追う側であった警察官のダンテ(トリー・キトルズ)も、とそれぞれのスキルを活かしてロビンの世直しに協力している。
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『イコライザー』というタイトルに込められた意味や、映画とドラマの違いについて解説してきた。社会的な弱者を救うため、元エージェントの無敵の強さで悪を打ち砕くマッコールという存在は、善なのか悪なのか、それとも、善悪を超越した至高の領域にたどり着いた人間なのか…….。ぜひとも映画とドラマの両方をお楽しみいただき、確認してもらいたい。
(文:峯丸ともか)
アクション海外ドラマ専門チャンネル「アクションチャンネル」
2024年10月にドラマ「イコライザー」シーズン1~3まで一挙放送!
さらに!2024年5月に全米で放送が終了したばかりの最新シーズン4が2024年10月にアクションチャンネルで早くも登場!
★新シーズン直前!
イコライザー(シーズン1~3・全46話)2日間ぶっ通し一挙放送
字幕版:10/26(土)朝7:00スタート
★最新シーズン
イコライザー(シーズン4・全10話)
字幕版:10/30(水)夜11:00スタート 毎週水曜夜11:00《DRAMAX11》
※二カ国語版の放送日は決まり次第お知らせします。
番組情報や詳細はこちら
https://www.axn.co.jp/programs/equalizer/
(番組情報:編集部 2024/09/27追記)