LOST UNVEILED
ファイナル・シーズン用コンテンツ
エピソード
LOST UNVEILEDは、LOSTファイナル・シーズンの各話ごとに、フィルムライター小西未来さんが解説を書き起こして、まさに1話ずつUNVEILEDする(ベールをはがしていく)コンテンツです。これを読めば、複雑なLOSTのストーリーや新しい手法フラッシュ・サイドウェイ、明かされた謎、新たに生まれた謎などが一目瞭然!
これでLOSTへの理解が一層深まることは間違いなし!
※ファイナル・シーズンの放送を視聴後、対応するエピソードの解説をお読みください。
※視聴前に解説を読むと、ネタバレとなりますのでご注意ください。

第104話「LA X」
衝撃的な展開で幕を開けたファイナル・シーズンだが、ストーリーの解説に入る前にタイトル分析から始めたい。なぜならこれまでの『LOST』を見てもわかるように、エピソードの題名にはヒントが隠されている場合が多いからだ。
前後編に分かれたシーズン6初回のタイトルは「LA X」である。LA Xとは、海外旅行慣れしている人ならご存じの通り、ロサンゼルス国際空港のコード名だ(ちなみに成田国際空港ならNRT、ニューヨークのジョン・F・ケネディ国際空港ならJFKとなる)。ロサンゼルス国際空港といえば、2004年9月22日にオーストラリアのシドニーを飛び立ち、あえなく墜落したオーシャニック航空815便の目的地だった。シーズン5の最終話において、1977年にタイムスリップしたジャックたちは、スワン基地の建築現場で水爆の信管を爆発させた。もし、彼らの思惑通り未来が変わっていれば、2004年において815便は無事LA Xに到着するはずである。
ただし、このタイトルはLAとXとのあいだにスペースが空いて、「LA X」となっているのがポイントだ。LAとXを切り離して考えると、「ロサンゼルスX」となる。「EarthX」や「UniverseX」のように、タイトルの最後に未知数のXをつけるのはアメコミでよくある手法で、実際の歴史と異なる歴史を舞台にしていることを意味する。つまり、「LA X」は、これまでの歴史と異なるロサンゼルス、あるいは、パラレルワールドのロサンゼルスという意味になるのだ。

さて、ここまで理解できれば、ファイナル・シーズンの「LOST」がどういう展開になるか想像がつくだろう。今シーズンは、1977年に水爆を起爆させた結果生まれた新たなタイムラインを舞台にしているのだ。じっさい、「LA X」は、「LOST」の第一話とそっくりの展開で幕を開ける。しかし、飛行機は墜落せず、そのままLA Xに到着。飛行機に乗り合わせたジャックやロック、ケイト、ソーヤー、チャーリー、サイード、ハーリー、クレア、ブーン、ローズ&バーナードらは他人同士のまま別れていく。ジャックたちの作戦は見事に成功したのである。
しかし、ファイナル・シーズンがすごいのはここからだ。「LA X」は、もうひとつの現実が平行で描かれる。1977年において目映い光に包まれたジャックやケイト、ソーヤーらは、2007年で意識を取り戻す。スワン基地はデズモンドが爆破させたときと同じ状態になっており、つまり、ジャックたちは作戦に失敗したまま、2007年にタイムスリップしたのである。
これまでの「LOST」は、島で起きる現実のドラマに、フラッシュバック(過去)やフラッシュフォワード(未来)が挿入されていた。しかし、ファイナル・シーズンではさらに大胆な話法が導入されたことになる。2007年の島を舞台にしたドラマに、歴史改変に成功した場合の平行世界が挿入されるのだ。このストーリーテリング術は、あまりに革新的なので名称が存在しないほどなのだが、製作総指揮の二人は脇道という意味の「サイドウェイ」という言葉を用いて、「フラッシュサイドウェイ」と呼んでいる。そこでここでは、2007年の島で展開するドラマに対し、平行世界を「サイドウェイ」と呼ぶことにする。
この新たな物語手法に戸惑いを覚える人は少なくないだろう。構成が複雑になったのはもちろん、2つのタイムラインを平行して描く必然性が見えづらいためだ。ジャックたちは、1977年に歴史改変を試みた。その結果は、成功か失敗のいずれしかなく、したがってどちらかのパターンだけを描けば済む話である。シーズン6では、従来通りのタイムラインのほうに比重が置かれているので、彼らは歴史改変に失敗したとみていい。とすれば、サイドウェイで展開するもうひとつの歴史が不要に映ってしまっても仕方がない。

しかし、サイドウェイ世界が同時に描かれる点こそが、シーズン6において制作サイドが仕掛けた最大のミステリーなのだ。二つの世界は、異なるタイムラインに独立しているのではなく、何らかの形で繋がっている。たとえばサイドウェイ世界において、オーシャニック航空機内でデズモンドに会ったジャックは、デジャヴに襲われた。サイドウェイ世界でジャックがデズモンドに出会ったのは初めてのはずだから、これは奇妙な現象だ。また、場面転換の効果音が、これまでと微妙に違っているのも気にかかる。フラッシュバックやフラッシュフォワードのときは風のような効果音だったが、フラッシュサイドウェイのときは、風の音に機械的なノイズが混じっているのだ。現実世界がサイドウェイ世界に干渉を及ぼしているのは確実で、その理由を見いだすことがシーズン6の楽しみとなりそうだ。
基本設定に関する説明が長くなってしまったが、「LA X」では衝撃の事実がいきなり明らかになった。黒い煙の正体はニセモノのジョン・ロック、つまり、ジェイコブの敵(黒い服を着ていたことから、通称「黒服の男(マン・イン・ブラック)」)だったのである。これまで黒い煙として登場していたときも、黒服の男(マン・イン・ブラック)はオーシャニック航空の生存者たちを観察していたことになる。黒服の男(マン・イン・ブラック)はついにジェイコブの殺害に成功したが、死亡したジェイコブも霊感の強いハーリーの前に姿を現すことができる。シーズン6は、ジェイコブと黒服の男(マン・イン・ブラック)との対立を軸に展開していくことになりそうだ。
このエピソードから生まれた謎
・ジャックが首から出血していたのはなぜ?・ジャックがデズモンドにデジャヴを覚えたのはなぜ?
・サイドウェイ世界において、どうして島が海中に沈んでいるのか?
・テンプルではなにが待ち受けているのか?
・ジュリエットは最期に何を伝えようとしたのか?
このエピソードで明かされた謎
・黒い煙の正体は、ジェイコブの敵(通称「黒服の男(マン・イン・ブラック)」)だった!文/小西未来
LOSTに関するスペシャルコンテンツを多数掲載中!下記よりアクセス!
![]() |
![]() |
![]() |















