プロフィール

小西未来(写真右)
LA在住のフィルムメーカー&ライター。大学卒業後、渡米。南カリフォルニア大学映画芸術学部で映画製作を学ぶ。カルチャー誌CUTや総合映画情報サイトeiga.comなどで執筆するかたわら、ブログ「Stolen Moments」では海外ドラマ情報を発信中。
http://www.miraikonishi.com/

中島由紀子(写真左)
ロサンゼルス在住の映画ジャーナリスト。ハリウッド外国人記者クラブの一員として25年以上スターを取材している。
http://www.s-woman.net/entertainment/hollywood_planet/list_1.html

小西: 今回、AXNさんからゴールデン・グローブ賞についてのコラムの執筆を頼まれたんです。でも、ぼくはハリウッド外国人記者クラブ(HFPA)に入れてもらったばかりで、投票をしたこともないし、授賞式に参加したこともない。そこで、先輩である中島由紀子さんにご教授願えないかなと思った次第でして。

中島: どうぞよろしく。

小西: どうぞよろしくお願いします。ちなみに中島さんは何年から参加されているんですか?

中島: 初めて授賞式に出席したのは1999年だったと思います。あのときはちょっと緊張しましたね。それまでテレビで見ていただけで、ハリウッドスター大集合っていう印象を持っていて。それに、ロングドレスなんてめったに着ないし。

小西: 日常生活でそんな機会、あるわけないですよね。

中島: そうなの。だから、「まず何を着て行こう?」っていう疑問から始まって、「ヘアーはどうする?」、「お化粧は?」って、ひとつひとつのプロセスを楽しみつつも、緊張感が高まっていく感じで。でも、すでに行ったことのある人から、「みんなはスターに注目してるから、一般の人なんて誰も見てないよ」って教えられて「そりゃそうだ」って納得して。

小西: 事実なんでしょうけど、せっかく盛り上がっていたのに可哀想ですね(笑)。

中島: おかげで、緊張と一緒に興奮も急降下しちゃって(笑)。

小西: (笑)。

中島: ただ、会場に行って感動の嵐に襲われたんです。この地球上にスターの密度がこれほど高い場所は他にないだろうってくらい、スターが1箇所にいるんです。「あ、トム・クルーズが!」、「ブラッド・ピット!」、「ベン・アフレック!」って。ミーハー度全開で大興奮しちゃいました(笑)。

ゴールデン・グローブ賞はどうしてここまで注目されるの?

小西: 映画ファンの人が知りたいのは、ゴールデン・グローブ賞がどうしてここまで注目されるのか、ってことだと思うんです。アメリカはさすが映画の国ということもあって、毎年さまざまな映画賞が実施されます。でも、2月下旬に行われるアカデミー賞へと続く前哨戦のなかで、どうしてゴールデン・グローブ賞だけがこれほど大きくクローズアップされるのでしょうか?

中島: いきなり大きな質問ですね(笑)。

小西: すみません(笑)。

中島: ゴールデン・グローブ賞が他の映画賞に大きく水をあける理由は、まず、70年という歴史のなかで、紆余曲折やアップダウンを経て、進化・発展してきたからだと思うんですよ。

小西: 具体的にはどういうことでしょうか?

中島: 70年以上前にハリウッド映画の記事を書いてる外国人記者たちが集まってゴールデン・グローブ賞を発足させたんですが、未知の世界に連れて行ってくれたり、人生を豊にしてくれるハリウッド映画への感謝の気持ちがもとになって、始まった祭典だったと聞いています。ゴールデン・グローブ賞は自分たちの利益や、テレビの視聴率の獲得、スタジオの興行収入アップのため、あるいはスターのPRのため、といった直接的な利益を考えて生まれた映画賞ではなくて、本当にハリウッド映画への愛から生まれた賞なんですよ。1955年からはテレビ部門もできました。これはエミー賞がスタートした6年後ですから、映画&テレビ部門両方を対象にしようと思った人は先見の明があった訳ですよ。映画とテレビの両方のカテゴリーを受賞対象にしているのが他の映画賞との差を作っている原因なのは明白です。両部門の旬のスターたちを一緒に見る事ができますからね。来年は69回目ですが、過去70年のあいだに、ハリウッド映画のことを書いていた記者たちが集まってスターを囲んでお祝いする小さな集まりから、各映画スタジオがゴールデン・ブローブ受賞のために戦略を組んで何としても取りたいと思わせる権威ある映画賞にゆっくりと発展してきたんです。やがて、ゴールデン・グローブ賞を受賞した俳優や監督が、アカデミー賞でオスカーを受賞する確率が圧倒的に高いことが明らかになって、アカデミー賞の前哨戦としてテレビ放映の契約が成立し、毎年、こうしてテレビ放映されるようになったんです。

小西: 業界関係者が決めるアカデミー賞に対し、ゴールデン・グローブ賞はスタンスが違いますよね。

中島: そうですね。HFPAは会員数が少ないうえに、選考する映画にいっさい関わっていませんから、自画自賛的な要素がまったくありません。ノミネートされた作品にどんな形でも少しでも関わったらその部門の投票を禁じる規則もあるくらいで。映画を深く鑑賞し、豊富な知識を持った映画ライターたちの集まりですから、自分たちが選ぶ作品には常に自信を持っているし、「あんな作品を選ぶなんて」と叩かれたってビクともしません。一時期は、アカデミー会員はゴールデン・グローブ賞の授賞結果を参考に投票してるのではないかって言われるくらい、結果が似通ってました。その後、アカデミー賞の開催時期が一ヶ月前倒しされるようになったのは、ゴールデン・グローブ賞に影響を受けているという批判を払拭したかったからだと言われているんですよ。

小西: なるほど。次回はゴールデン・グローブ賞の楽しみ方について聞かせてください。

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