インタビュー

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これを見ればエミー賞が10倍楽しめる!
特別番組「エミーは誰の手に!? ~エミー賞徹底紹介~」より、ロサンゼルス/ニューヨークのジャーナリストへの直撃インタビュー記事を掲載!

ネリー・アンドリーヴァさん

デッドライン・ハリウッド誌 テレビ部門エディター

Q: エミー賞はどれほど注目され、どのような影響のある賞なのでしょうか。

エンタテインメント界において、世界で最も有名な賞といえばアカデミー賞になります。
エミー賞はアカデミー賞に比べると二番手のような存在になってしまいますが、それでもテレビの世界では、エミー賞はとても影響力があり人気があります。特に今年は、たくさんの人気番組がノミネートされ、そのノミネート内容により、いつもより多くの人の注目を集めたと思います。

Q: 今年のエミー賞のノミネートの傾向について教えてください。

通常、投票権を持つテレビアカデミー会員は、いわゆる人気票とは距離をおいて、質の高い、あるいは少なくとも自分が質が高いと考える作品に票を入れようとします。今年は、コメディ部門では「Glee」「Modern Family」、そしてドラマ部門では「グッド・ワイフ」という人気番組が、両部門で多数ノミネートされる傾向が見られました。

人気のシットコム「ビッグバン★セオリー」や「ハーパー★ボーイズ」といった作品はノミネートされませんでしたが、全体として去年よりも、多くの視聴者が見ている番組が選ばれていますね。去年は、非常に小規模のケーブルテレビのドラマがほとんどでしたから。

Q: 例年と比べて、今年のエミー賞のノミネートに、何らかの特徴や変化があったということですか?

新番組や旧番組の中にも、見過ごされた作品がたくさんあると思います。今年は大変革があったと言えるでしょう。「トゥルーブラッド」などは人気がありましたが、まったく注目されることがなく、今年やっとドラマ部門の作品賞にノミネートされました。「Friday Night Lights」は、視聴率は非常に低かったのですが、評判は良く、やっと主演男優賞でノミネートされました。全体としては、大成功した「Glee」と「Modern Family」が、コメディ部門で多くノミネートされている印象ですが、新しい作品が多く登場した年と言えるでしょう。

Q: 今年「LOST」は作品賞や主演男優賞などの主要部門に多数ノミネートされていますが、それは番組が終了したことと関係があると思いますか?

たくさんの部門でノミネートされたことは、番組が終わったことと関係があるでしょう。ノミネートのほとんどは、最終話(final episode)に対するもので、監督賞、脚本賞、作品賞、マシュー・フォックスの主演男優賞など、すべてシリーズを締めくくる最終エピソードに対するものです。
この番組の健闘は、充実したファイナル・シーズンが理由でしょう。それが受賞に結びつくかどうかは分かりませんが、少なくとも、視聴者、ファン、賞のいずれの視点からも、高く評価できる内容だったと言えます。

Q: 主要部門について個々に伺いたいと思いますが、まずドラマ部門からお願いいたします。
助演女優賞のノミネート結果については、どのように思われましたか?

助演部門については、ドラマ部門、コメディ部門の両部門の女優賞、男優賞で、同じ番組から複数の人がノミネートされる年になりましたね。
普段には見られない傾向ですが、これらの番組で、同じぐらい力量のある俳優が複数出演していたということです。でも、票が割れる可能性があるので、彼らにとってはマイナスの影響となるでしょう。結果として、他の候補者に有利になると思います。

Q: ズバリ、ドラマ部門助演女優賞を受賞するのは・・・?

「グッド・ワイフ」のクリスティーン・バランスキーだと思います。「グッド・ワイフ」は良い番組ですし、人気があって視聴率も高いです。彼女は好感が持たれていますし、過去にも1度エミーを受賞していますが、そういう人が選ばれる場合もあります。
この部門にサプライズがあるとしたら、「MAD MEN マッドメン」の女優2人ですが、どちらも実力があり、受賞の可能性はあると思います。

Q: 続いて助演男優賞について伺わせてください。

この部門は、雰囲気の良い、目立った俳優に贈られることが多いですが、今年もそうです。
「ブレイキング・バッド」のアーロン・ポールが最有力候補だと思います。少なくとも私はね。ドラマにおける彼の存在感は大きいですが、主演のブライアン・クランストンはすでにエミー賞を2度受賞しているのに、彼(アーロン・ポール)はこれまで過小評価されていたと思います。とてもいい演技を見せていますよ。
この部門でのサプライズ受賞となるのは、「LOST」のテリー・オクィンとマイケル・エマーソですね。2人とも過去に「LOST」で受賞していますし、今シーズンの演技も素晴らしいですから、受賞する可能性はあります。でも2人がノミネートされているので票が割れる可能性はありますね。

Q: それではドラマ部門の主演女優賞について、ノミネートの傾向を伺えますか?

ドラマシリーズの主演女優賞部門は、しばらくの間、同じ女優が繰り返しノミネートされ、顔ぶれに変化のない状態が続いていました。
今年は、この数年間の中で初めて変化の兆しが見られました。「グッド・ワイフ」のジュリアナ・マルグリースや、「Friday Night Lights」のコニー・ブリットンなど、新顔がノミネートされています。

数年前に受賞した、おなじみのサリー・フィールドは、ノミネートから漏れています。ですから、今年は新たな受賞者が現れるかもしれません。私は、ジュリアナ・マルグリースがこの部門の最有力候補だと思います。

Q: なるほど・・・。 ジュリアナのライバルと目されるのは誰でしょう?

そうですね。ジュリアナはかなり優勢だと思いますが、サプライズでグレン・クローズが受賞する可能性もあります。彼女は人気のある女優ですから。キーラ・セジウィックは受賞のタイミングを逃していて、毎年ノミネートされているのに、これまで「クローザー」のこの役での受賞はないので、同情票が集まる可能性はありますね。

Q: 主演男優賞はいかがですか?

ほとんどの候補が昨年度と同じです。正直言うと、マシュー・フォックスのノミネートには驚きましたが、皆、充実した作品の優れた主演俳優ばかりです。「デクスター」のマイケル・C・ホールは、今シーズンの演技で賞を総なめにしているので、最有力候補と言えるでしょう。過去にもエミーの受賞経験はありません。唯一のマイナス点としては、このドラマのシーズンが終了したのが昨年の12月で、かなり前に終わっているため、投票者の記憶から薄れている可能性があります。ブライアン・クランストンは、受賞すれば3度目となるので、もし受賞すればサプライズですね。

Q: ズバリ、受賞するのは・・・?

私は、マイケル・C・ホールが受賞すると思いますが、本音では、「Dr. HOUSE」のヒュー・ローリーが評価されることを心から願っています。彼はこの役で一度もエミーを受賞したことがないのですが、非常にいい演技をしていると思います。ただ、すでに受賞のタイミングを逃していると判断されるかもしれませんが。

Q: マイケル・C・ホールが受賞すると思う理由は?

「デクスター」での演技は素晴らしかったですし、昨シーズンは非常に充実していました。それに、他の大きな賞をすでに2つ受賞していますので。強力なライバルになるのは、「ブレイキング・バッド」のブライアン・クランストンでしょう。番組での演技が素晴らしかったですし、「ブレイキング・バッド」も好調なシーズンでしたから。
Q: 「LOST」のマシュー・フォックスが受賞する可能性は?

残念ながら、ないと思います。ドラマ部門の主演男優賞にノミネートされた人の多くは、あらゆる面において、その人物が番組の中心だという強い主役的な要素があります。マシュー・フォックスは、その意味で唯一の大きな例外であり、これまで一度も主演男優賞にノミネートされたことがありません。
彼の演技と、番組が終わったことは、おそらく彼に有利に働くと思いますが、全体としてアカデミーは、ドラマのほぼすべてのシーンを動かす中心的な登場人物を選びますし、それは今年も変わらないでしょう。

Q: さて、注目のドラマ部門作品賞ですが、昨年からノミネート作品数が5作品から6作品に増えましたね。

作品賞や主演賞などの主要部門のノミネート数が増やされた理由は、もっと人気のある番組をノミネートに入れようということと、放送される番組の数が増えているので、より多くの作品を評価しようということでした。昨年度はそれほど大きな変化はありませんでしたが、今年は、ノミネート数が増えたおかげで、新たな顔ぶれが増えたと思います。

Q: その中で、作品賞を受賞するのは?

感情的には「LOST」は応援したいところです。でも、「ブレイキング・バッド」が今年は有力と言えるかもしれません。とても好調なシーズンを終えたばかりですし、まだ作品賞で受賞経験がありません。
また、「MAD MEN」の健闘も見逃せないでしょう。「MAD MEN」にはアドバンテージがあります。エミー賞は前シーズンに対して贈られますが、「MAD MEN」は新シーズンが始まっているので、投票者にとって記憶に新しく、それが影響するかもしれません。また、「デクスター」も非常に好調でしたので、受賞する可能性はあります。
あえて選ぶとしたら、私は「ブレイキング・バッド」か「デクスター」だと思いますね。

Q: ファイナル・シーズンを迎えた「LOST」についてはいかがでしょうか。

「LOST」のエンディングについては、様々な反応があったと思います。色々な事前予測もあり、ここ数年のテレビドラマでは最大の出来事だったと言えるでしょう。フィナーレに近づくにつれて宣伝も大量に行われ、他の多くのドラマシリーズと同様に、評価も二分しました。素晴らしいという評価もあれば、すべての疑問に答えていないとして不満に思う人もいました。
個人的には、熱心なファン層を獲得した番組として、充実した内容のフィナーレ、ファイナル・シーズンだったと思います。

Q: テレビアカデミーは、「LOST」にどのような評価をするでしょうか?
過去に「ザ・ソプラノズ」が、ファイナル・シーズンの年にドラマ部門で2度目の作品賞を受賞したという前例はあります。「LOST」もまったく同じで、過去に作品賞を受賞し、ファイナル・シーズンとなった今年も作品賞にノミネートされています。でも、ドラマ部門は非常に激戦なので、「LOST」が受賞するのは難しいかもしれませんね。

Q: 続いてコメディ部門についてお話を伺います。今年のノミネートの傾向は?

この部門が一番、新番組が評価されていますね。作品賞について言えば、「Glee」や「Modern Family」がそうで、皆が受賞するかどうかをよく話題にしています。
また、今年はシングル・マルチカメラ(single-muti camera)によるコメディは1本もノミネートされておらず、すべてがフィルム撮影のコメディや「Glee」のような1時間もののコメディ作品ばかりです。これは例年と違う傾向です。

Q: 主演女優賞のノミネート結果のご感想を聞かせてください。

「Glee」のリー・ミシェルのノミネートは驚きでした。とても若い女優です。彼女にとっては、受賞歴のある女優たちとの厳しい戦いになるでしょうね。ジュリア・ルイス=ドレイファスやトニ・コレット、ティナ・フェイらは、皆、受賞経験があります。また、エイミー・ポーラーは、昨年、見過ごされていたのでノミネートされてよかったと思います。
でも私は、受賞歴のあるイーディ・ファルコが最有力候補だと思います。彼女の「ナース・ジャッキー」での演技は素晴らしく、また、エミー賞の投票者は、俳優がガラリと違った役を演じるのを見たいと思っているので、「ザ・ソプラノズ」と「ナース・ジャッキー」でまったく違う役を演じる彼女は評価されると思います。

Q: 対抗馬となるのは誰だと思われますか?

エイミー・ポーラーが番狂わせになるかもしれません。「Parks And Recreation」での彼女は非常に良い演技を見せていると思います。残念ながら番組自体はノミネートされていませんが、それによって、俳優の方に票が集まるということは一般的にあります。
でも、イーディ・ファルコがやはり有力だと思います。他にいるとすれば・・・「Glee」のリー・ミシェルでしょうか。番組は事実上、すべての部門で受賞したようなものだと思いますし、彼女が受賞すれば、それに花を添えることになります。
あるいは、ティナ・フェイのカムバックの可能性もあります。過去に受賞していますので。

Q: 主演男優賞の今年のノミネートはいかがでしたか?

多少、驚きがありましたね。「Glee」のマシュー・モリソンのノミネートには非常に驚きました。彼にはコメディ俳優のイメージがありませんから。でも、番組の人気が、彼のノミネートに一役買ったのだと思います。
それ以外は、ほぼ現状維持という印象です。ジム・パーソンズは今年もノミネートされました。去年のノミネートは意外なことで、受賞は逃しました。今年は彼の年になるのではないかと思います。

Q: 対抗となるのは?

アレック・ボールドウィンはおそらく、今のテレビでは最高のコメディキャラクターを演じる1人だと思います。ですから、再受賞しても驚きはないでしょう。
また、「The Office」のスティーヴ・カレルも、この役では1度もエミーを受賞したことはなく、可能性はありますが、最終的にはジム(パーソンズ)とアレック(ボールドウィン)の戦いになるでしょう。

Q: 番組がフィナーレを迎えたトニー・シャルーブについては、どう思われますか?

最高記録かどうかは分かりませんが、彼はすべてのシーズンで、8年連続でノミネートされています。これは前例のないことです。非常に好かれていますし、これまで3度受賞しています。
でも、第一に、番組は12月というかなり前に終了したこと、第二に、番組の最盛期は過ぎたということで、受賞は難しいでしょう。
確かに、番組の終了によって、ファイナル・シーズンの時に受賞する俳優はいますし、昨年はその恩恵を受けた人もいます。クリスティン・チェノウェスは、「プッシング・デイジー」が終了した年に受賞しました。でも、主演男優賞は激戦が予想されるため、シャルーブが受賞することはないと思います。
ただ、8年連続ノミネートというのは素晴らしいと思います。

Q: では作品賞を受賞するのは?

「Glee」と「Modern Family」の対決になると思います。私の予想では、脚本や監督賞などの賞で「Modern Family」が受賞し、作品賞には「Glee」が選ばれると思います。

Q: エミー賞は1年の締めくくりとも言えますが、この1年のアメリカTV界を振り返って、何か特徴とか変化はありましたか?

この1年はコメディの年だったと言えるでしょう。通常はドラマが主要なジャンルですが、今年は違いましたね。ドラマは、「LOST」や「24」など、終わりを迎えた規模の大きな作品に集中していたようです。ケーブルテレビでもいくつか良い作品はありましたが、全体としては、やはりコメディがブレイクしたという印象です。
ネットワークの新作ドラマでは「グッド・ワイフ」は良作で、注目を集めましたね。

視聴率の面では、ケーブルテレビなどを含め、番組の選択肢が多いことから、連続性の高いドラマや台本劇(scripted drama)の視聴率は下降を続けています。ですから視聴率の観点だけで見ると、一話完結型でない限り、ヒットすることは ますます難しくなっていますね。でも、一話完結型ドラマは成功する可能性は高いですが、エミー賞で取り上げられる対象にはなりません。「NCIS」とかスピンオフの「NCIS:Los Angeles」などの新番組がこれに該当します。視聴率は良かったですが、おそらくエミー賞の主要部門にも、技術部門の方にもノミネートはされていないと思います。

Q: キャスティングについてはどうですか?

ケーブルテレビでは、ドラマの放送を決定するためには、ビッグネームの映画俳優を主役に起用する必要があるように思います。新作ドラマのほとんどで、特にHBOではその傾向が見られます。現在、いくつかのプロジェクトを計画中ですが、いずれも、オスカーを受賞したばかりのキャサリン・ビグローや、マーティン・スコセッシなど、大物のサポートを受けています。特にケーブル業界ではこの傾向が高まっていますね。
ネットワークでは、新人を起用しようとする傾向もありますが、全体として、ドラマはスター的な存在に依存するジャンルになっています。「グッド・ワイフ」では、ジュリアナ・マルグリースを主演女優に起用するなど、ドラマを左右するのは、ほとんどの場合が主役の存在だと思います。

Q: それはどんな事柄が影響しているのでしょう?

視聴者が顔を知っている人物を主役に据えることは、番組のいい宣伝になり、視聴者が番組を見るきっかけになります。「グッド・ワイフ」に関しては、あちこちのビルボード(広告看板)にジュリアナの写真が貼られているので効果的だと思います。
アメリカは、そういう宣伝がとても上手で、スターをうまく使います。もちろん、新たなスターも生み出しますが、いったんスターが誕生すれば、その人が番組の顔になります。「バーン・ノーティス」のジェフリー・ドノヴァンなどがそうです。
同じことが、新番組の「救命医ハンク」などにも言えますね。視聴者が知っている顔を起用することは重要だと思います。

Q: 最後に、ドラマやコメディの今後の傾向について、何か予想できることはあればお聞かせください。

「Glee」や「Modern Family」の成功によって、これまでトライしてこなかった新たなフォーマットに挑戦する制作者が増えてくると思います。ミュージカルドラマはテレビでは何年も作られていませんでした。「Modern Family」は、シングルカメラでのファミリーコメディで、他の番組との違いを打ち出しました。このような番組が成功しているので、制作側はより大胆になるでしょう。ABCの新作コメディ「My Generation」は非常に変わった作品で、リスクを負っていると言えます。ヒットするか失敗するかは分かりませんが、今後も、このような新たな試みが見られるでしょう。

一方で、一話完結型の番組はアピール力があり、成功の可能性も高いので、 今後も残るでしょう。
ネットワークにとっても好ましいジャンルということで、今後数年間は継続されると思います。

昨年に比べて今年は、より多くの新しい作品が放送される予定です。ネットワークでは、コメディ部門もドラマ部門も番組数が増やされました。コメディは圧倒的にシングルカメラでの制作がトレンドで、ドラマでは様々な人気のヒット作品の要素が取り入れられています。
新たな医療ドラマ、警察ドラマ、法律ドラマなどが予定されていて、ネットワークは色々なジャンルのドラマを発注していると思います。特にNBCは、ジェイ・レノショーの失敗があったため、長時間の枠を埋めなければいけないと思います。


<エミーは誰の手に!?~エミー賞 徹底紹介~>
初回放送日とラインナップ
8月9日 (月)   ドラマ部門 助演女優賞
8月10日(火)   ドラマ部門 助演男優賞
8月11日(水)   ドラマ部門 主演女優賞
8月12日(木)   ドラマ部門 主演男優賞
8月16日(月)   ドラマ部門 作品賞
8月17日(火)   コメディ部門 主演女優賞
8月18日(水)   コメディ部門 主演男優賞
8月19日(木)   コメディ部門 作品賞
総集編(60分番組) 8月25日(水)

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