インタビューInterview
アンソニー・E・ズイカー(製作総指揮)
AXN: まずあなたの名前と何を担当なさっているかを話していただけますか。

アンソニー: コンニチワ。ワタシノナマエハ、アンソニー・イー・ズイカー(ここまで日本語でした!)。「CSI」シリーズの創設者で、「CSI:NY」を含む3つのシリーズすべての製作全体を指揮している。
AXN: 3つのシリーズすべてが大成功を収めていますが、成功の秘密は何だと思いますか。
アンソニー: 全体が素晴らしいミステリー作品であること、それに科学捜査の面白さが組み合わさっていることだと思う。視聴者の立場から見て、「CSI」が登場するまで科学捜査の分野はまったく未知の世界だった。そこにわれわれが「CSI:科学捜査班」で、ミステリーの新しくて洒落た楽しみ方を持ち込んだ。質のいいミステリーは誰もが大好きなんだけど、新しいミステリーが現れて「CSI」で毎週見られることになったというわけだね。
AXN: 「CSI」のアイデアは奥さんが考えたのだと聞きましたが本当ですか。

アンソニー: 本当だよ。「CSI」は妻のアイデアから始まった。彼女がケーブルテレビのディスカバリー・チャネルでやっていたアメリカのシリーズ番組“The New Detectives”を見ていたからね。あるエピソードで実在のオークランドのロデオ騎手ブレンダ・ソーバックが、プロフットボールチームに公開質問状を出して脅迫される。実は彼女はある写真家に殺されて、彼女が殺されたとみられているジープの助手席から、長い髪の毛が見つかった。検死局に戻って、毛髪を調べてみると、先に白い毛根がくっついていた。このことから、毛根がむりやり引き抜かれたことが分かり、つまりそこで取っ組み合いがあったということにつながるわけだ。僅か一本の毛から大きなことが分かる。僕はそのとき科学捜査に引きつけられた。 そして「CSI」がスタートした。
AXN: いつジェリー・ブラッカイマーと会って、どんないきさつで「CSI」にかかわることになったのですか。
アンソニー: 僕がハリウッドで映画の脚本を書いていたとき、ジェリー・ブラッカイマーがコロンビアで製作する映画の脚本を書くことになった。僕の原稿を読んだ彼は気に入って、会っていろいろ話し合おうということになったんだ。そこで、TVで何かやりたいかと訊かれたので、僕は科学捜査に関するドラマのことを話した。現場に入る、死体が床に横たわっている、植木鉢が倒されている、裏庭にはラリっているやつがいる、そんな素材。ドラマの作り方は、フラッシュバック、解説、科学捜査による再現、分刻みの進行。彼は飛びついた。すぐCBSのオーケーを取り付ける。ウィリアム・ピーターセンもイエスと言った。これが歴史の始まりさ。
AXN: ラスベガスからマイアミとニューヨークのスピンオフのアイデアは、どのようにして生まれたのですか。
アンソニー: ラスベガスからマイアミへのスピンオフは自然な動きだった。シャーマン・ラスムンデスが話したいと言うので出かけて行くと、「アンソニー、どこか街を選べよ」「マイアミがいい」「よし決まりだ。君が書けよ」となったよ。次にまた「街を選べよ」ときたので「ニューヨーク」「決まった」となった。とても簡単だった。 しばらく3本でいくことになり、今やそれぞれシーズン7、5、3と進んで、世界ナンバーワンのTV番組となっている。
AXN: シリーズを拡大するとき、飽和状態になるという心配はありませんでしたか。

アンソニー: ラスベガスからマイアミを始めるときは心配したよ。「CSI:科学捜査班」の成功を証明するためにも、マイアミは絶対に失敗出来なかったからね。「CSI:NY」にも同じような、ものすごいプレッシャーがあった。ラスベガスとマイアミが成功していたからね。今や全体がひとつになっている。フランチャイズとしては、3つの番組全部が好調だということが重要なことなんだ。しかし、この後4つ目というのは多すぎると考えているよ。もう満杯ではないかな。だから今の3つ、ラスベガス、マイアミ、ニューヨークがフランチャイズの3本柱として続いていくと思う。
AXN: 「CSI:TOKYO」はどうですか。
アンソニー: ああ、面白いね。海外への進出も話題になったことはあるよ。でも金がかかるし、いろいろ問題もあるし。まず、今の3本のシリーズが東京でヒットして視聴者に喜んでもらえたら嬉しいよ。
AXN: あなたは意識して、それぞれのシリーズの特徴を作っているのですか。
アンソニー: 各シリーズはそれぞれ違った大都会を舞台にしているので、自然に違いが出てくるといえる。ラスベガスには景色、マイアミには眺望、ニューヨークには変化がある。都市がドラマの背景を作り出している。それにリーダーの個性があるね。ウィリアム・ピーターセンはちょっと変わった、内向的な性格だし、デヴィッド・カルーソ演じるホレイショ・ケインは、感情を表に出さないけど正義感が強い。そしてゲイリー・シニーズは責任感が強く、ニューヨークの正と邪を厳しく裁こうとする。それぞれのリーダーの性格が違うし、3つの都市にはそれぞれ違った雰囲気がある。それでいて全体としてはひとつのブランドを形成している。それが「CSI」ということだ。
AXN: 映画版を作ることを考えたことがありますか。
アンソニー: 映画の製作を話し合ったことはあるよ。問題は、映画を作ることは“宴は終わった。もうお仕舞いだ”ということを宣言するのと同じことになるということなんだ。われわれはまだ始まったばかりで、これからどんどん良くなると考えているよ。
AXN: どうして“もう終わりだ”と受けとられるのですか。

アンソニー: それはTV番組の映画化についての迷信なんだけどね。われわれの3つのシリーズはみんな、この夏の人気ランキングのベストテンに入っている。全国のすべてのランキングでも10位以内に入っている。もし今映画を作っても、お客が10ドルを払って見てくれるものが出来るだろうか。テレビで見るのとは違う新しいものを見せることは可能だろうか。 2番目の問題は、“もう終わりだ”という心理的なメッセージを発信することになる、ということ。あるいは“人気は下り坂になるだろう”というメッセージをね。われわれは、これから5年、10年と続けていくつもりだし、立派にやっていけると考えているよ。
AXN: ということは、ラスベガス、マイアミ、ニューヨークのトリオでこれからもずっと続いていくということですね。
アンソニー: これから20年は続くと思う。われわれがきちんと作り、俳優たちも続いてくれればね。「CSI」の基本的な構想は永遠に変わらないけど、新鮮な技法を絶えず取り入れて、いいストーリーを作れば作るほどどんどん成熟して、さらにいい内容の番組を作ることが出来る。これからずっと長く続いていくと思うよ。
AXN: 少し前のことになりますが、「CSI:科学捜査班」にクエンティン・タランティーノが出演したことがありましたね。そのひとつで、あなたはラスベガスのホテルで彼に会いましたね。

アンソニー: ちょっとしたエピソードが2つあるよ。僕はミラージュ・ホテルでベルマンの仕事をしていた時に会って、彼のチェックインを受け付けた。彼はチップを20ドルくれたよ。気前のいいチップだね。彼はスウェットスーツを着てライムグリーンの靴を履いていた。僕は彼のファンだったから、チェックインを受け付けて嬉しかった。その時は彼と「CSI」のフィナーレで一緒にやることになるなんて思ってもいなかったよ。その後彼と会ったのは、僕が9.11の犠牲者のために1口千ドルの資金集めをやっていたときだったよ。僕は「CSI」のクリエイターだと言うと、彼はせりふを暗誦して、シリーズはよく見ていて大ファンだと言った。僕が彼の映画「キル・ビル」を見たと話すと、彼は僕が「CSI」で使ったアイデアを自分の映画に取り入れたと言うし、お互いにつぎつぎと話題を持ち出して、話が尽きることはなかったよ。僕はタランティーノをほとんど崇拝している。彼はすごく魅力的で、最高の話し相手だった。
AXN: 最後にお尋ねしますが、TV番組の中で、お気に入りはありますか。
アンソニー: 「CSI」以外で、だね、もちろん。気に入っているのは、多分「ザ・ソプラノズ」だね。あれは良かったね。僕はジェームズ・ギャンドルフィーニが大好きで、彼の演技は見事だった。とにかくダイナミックで独創性のある、素晴らしいTV番組だと思う。
AXN: どうもありがとうございました。
アンソニー: ありがとう。アリガトウゴザイマス。サヨナラ!























